130/80mmHgと125/75mmHg
130/80mmHg未満。今年、6年ぶりに改訂された高血圧管理・治療ガイドラインでは、原則として、すべての年齢における降圧目標がこのように統一されました。患者さんにとっても、専門外の医療者にとっても、わかりやすい設定になった印象です。
一方、この数値がひとり歩きしているような気がして、少し心配しています。130/80mmHg未満というのは、あくまでも診察室で測定された血圧の管理目標です。しかし、日々臨床の現場にいると、診察室血圧ほどあてにならない数値はないようにも思えるからです。みなさんの中でも、健診や診察の場面で計測された血圧が、普段より20も30も高くなったという経験をされた方が少なからずいらっしゃるでしょう。厚生労働省も、特定健診での血圧について、近年、医療機関への受診を勧める上限値を緩め、家庭血圧測定の必要性を示しています。
そう、家庭血圧のほうが診察室血圧よりも実際の数値を反映しているのは、明らかです。診察室で血圧が上がる白衣高血圧は、日本人の1/3以上でみられるとする報告もあります。また、診察時に血圧が正常でも家庭血圧が高い場合を、仮面高血圧といい、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクがより高いといわれていますが、そもそも家庭血圧測定記録がなければ、その評価もできません。
ですから、降圧目標値で強調されるべきは、診察室血圧の130/80mmHg未満ではなく、家庭血圧の125/75mmHg未満なのです。私たち医療者の役割は、診察室で血圧を測定すること以上に、患者さんに家庭血圧測定の重要性を知っていただき、正しい方法で測定し、記録していただくのを実践するのをサポートすることだと考えます。
125/75mmHg未満。これこそ、成人したすべての日本人に知ってもらいたい降圧目標値です。
