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雪と気腫

[2026.01.29]

瀬戸内の沿岸部で暮らしていると、降り積もる雪を経験することは滅多にありません。そのせいか、雪国の人たちの苦労を知らず、一面の雪景色に憧憬の念をいだきます。

山形県のユースホステルに宿泊した際、雪のあかりに導かれ歩き続けたあぜ道。サンタクロース村のあるフィンランド・ロバニエミに広がった、雪野原。震災ボランティア後に訪ねた秋田県横手市のかまくらと、背丈より高く積まれた雪の壁。いずれも、新雪を踏みしめるザクザク、また、雪を握りしめるギュッギュッという、体感の記憶としてもよみがえってきます。

さて、診察時に患者さんの体に触れたとき、上述のようなギュッギュッとした感覚があれば、注意が必要です。特に首や胸の手をあて、雪を握ったような感触があったり、時にプツプツとはじけるような音がしたりすると、それは、皮膚の下に本来ない空気がたまっている、つまり気腫を疑うサインといえるからです。

皮下気腫の原因としては、肺や気管から空気が漏れて生じる気胸や縦隔気腫が知られています。これらの病気は、胸痛や咳、息苦しさを伴うことが多いですが、なかには、ほとんど自覚症状なく経過するものもあります。

雪にまつわるこの感覚を、医療の世界では握雪感と表現します。

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