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落研の思い出と居心地のいい場所

[2026.04.02]

高校卒業後、1年の浪人生活を経て大学合格が決まったとき、受験生活からの解放感とともに、心機一転「何でも挑戦してみたい」との思いから、いろんなクラブやサークルの門戸をたたきました。

その1つに、落語研究会、通称、落研があります。入学式の後、時計台のまわりがサークルの新人勧誘合戦でごった返す中、飄々とした着物姿の小さな集団に目がとまり、そのまま東大路通りのそばに建つプレハブの2階奥にある部室へとついていきました。気づけば、なし崩し的に入会し、葵家狐二郎という高座名をつけてもらい、「1年ってお正月を入れて13か月だよね」「馬鹿言え、お盆が抜けてら」などど、古典落語のまくらを練習したり、先輩から傘まわしを教えてもらったりしていました。

当時、落語や芸に対し、取りたてて情熱をもっていたわけではありません。ただ、こぢんまりとした畳の部屋にちょっとした高座がこしらえてある、落研の部室が好きでした。隣が、観世能サークルの部室で、時折「ヨーイ」「イヤー」といったかけ声が聞こえてきました。開けられたままの扉からは、眼下にプールが見え、その近くのスペースでは、応援団のトランペットや太鼓を練習する音が響いていました。

自分にとって居心地のいい場所を見つけることは、生きる上でとても大切なことのように思います。孤独なときや悩んでいるとき、自分だけの逃げ場になってくれるからです。健康や病気と向き合う場合も、同様な気がします。計画通りに生活習慣の修正ができなかったり、思っていたほどの治療効果を得られなかったりしたとき、一旦、お気に入りの場所に立ち寄ってみる。そして、そこで聞こえる音に耳をすまし、そこから見えるものに目をこらしてみる。すると、きっと次の1歩を清々しい気持ちで踏み出せるでしょう。

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