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花壇と果断

[2025.05.01]

初夏へと移りゆくこの時期に降る雨を、愉英雨(ゆえいう)ともいいます。春に咲いた花たちをたのしませる、よろこびの雨雫が、花弁や葉にとどまり、雲間から覗く陽光に輝くのを眺めると、自然と笑みがこぼれます。

花壇に咲く花の彩りも、1年のうちでこの季節が最も鮮やかな気がします。わが家には花壇がないのですが、道沿いの花壇を見ると、愉英雨とともに、そこに花を植えた人の清らかな心までもが土壌の栄養になっているように思えます。

花壇と同じ読み方の言葉に、果断があります。果断とは、思いきって物事を実行することや決断力のあることをいいます。たとえば「あの人は、剛毅果断である」という場合、強固な意志で何事にも屈することなく、信じる道を突き進むような人を指します。

花壇の花は、盛りの季節を過ぎれば、やがて散り、土に還ります。ただ、蒔かれた種は、来たるべき時を土の中で待ち続けます。そして、機が熟せば、きっと果断をもって地上に芽吹くのでしょう。私たち人間も、その生涯において、美しく咲き続けているわけではありません。ただ、人生の節目ごとにおける果断が、いまの自分をこれまでよりさらに輝かせてくれるのです。

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