手足の冷えと生活習慣
[2022.07.28]
手足の冷えは、日常診療でよくお聞きする症状のひとつです。「血流が悪いせいではないか」と受診される患者さんも、多くいらっしゃいます。たしかに、血流障害は、手足の冷えの原因となります。ただ、明らかな循環不全を疑うことのできない場合でも、手足に触れてみると、はっきりと冷たく感じられることがあります。
循環不全以外に、甲状腺機能低下症や膠原病などでも、手足の冷えを生じることがあります。しかし、実際には、原因となる病気を特定できない、あるいは病気によるものではないことの方が、はるかに多い印象です。その場合、おくすりでは、漢方の当帰四逆加呉茱萸生姜湯などが、よく用いられます。
一方、生活習慣の改善も、症状の改善に有効と考えられています。たとえば、体をあたためる食材や調理法を選ぶことで、保温効果を期待できます。また、筋肉には、熱を生み出す力があります。そのため、日ごろから筋肉を使うことを意識し、ウオーキングやストレッチなどを実践すると、手足の冷えの改善とともに、心臓病の発症予防にもつながります。