常緑樹と循環する血液
当院の正面玄関には、2本の常緑樹が植えてあります。当地で開院以来、1年を通じて豊かな緑で患者さんをお出迎えしています。私自身、夏にはたくさんのセミたちが憩うこの木々を、とても気に入っています。ただ、毎年この時期になると、落葉が目立つようになり、診療前の掃除もひと苦労です。
常緑樹なのになぜ落葉するのと思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は、常緑樹も、新芽の時期などに、新しい葉にかわり古い葉が落ちていきます。部分落葉を繰り返すことで、青々とした装いを維持しつつ、頑強な木として成長し続けるのです。
さて、常緑樹と同様、私たちの体内を循環する血液も、常に新しく生まれ変わっています。血液を構成する細胞は、骨髄などでつくられます。このうち、赤血球は約120日、血小板は約7日の寿命であることがわかっています。古くなった血液の成分は、脾臓を通過する際に破壊されてしまいます。このように、血管内を循環する血液では、新旧の細胞の入れ替わりが繰り返し起こり続け、約4か月後には、それ以前とはまったく別の細胞からなる血液になっていると想定されます。ちなみに、肌の表皮は約1か月、骨は約2年で更新されるようです。
常緑樹も循環する血液も、諸行無常の響きあり、ただ春の世の夢のごとしともいえますが、それでもなお、その瞬間を愛おしみつつ大切にし、葉や血液が新しくなるごとに、より健やかでありたいと願います。
