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別れ霜と茶摘み

[2026.05.01]

立春から数えて88日目の毎年5月2日ごろを、八十八夜といいます。「夏も近づく八十八夜」と歌われますが、少し前の日中の暑さを思えば、もうすっかり夏を迎えた気もします。

88日を夜で数えるのには、月の満ち欠けをもとにした旧暦に由来するとの説があります。また、霜夜という冬の季語があるように、気温の低下した寒い夜に降りやすい霜が、八十八夜を過ぎると少なくなることにも関係しているのではないかともいわれています。八十八夜のころに降る遅霜を「八十八夜の別れ霜」と呼ぶそうです。そして、別れ霜の時期以降は、昔から、種蒔きの目安になっています。ちなみに、別れ霜は、名残の霜、忘れ霜、霜別れ、泣き霜とも呼ばれ、歳時を表現する日本語の美しさに、あらためて魅了されます。

さて、上述の歌詞は、「茶摘み」という唱歌の1節です。その名の通り、八十八夜は、茶葉を摘むのに適した時期ともされています。八十八夜に摘まれた葉からできたお茶は、不老長寿の上等な新茶として、むかしから重宝されてきたようです。実際に、この時期の茶葉には、カテキンやアミノ酸類といった栄養分が、1年のうちで最も豊富に含まれていることがわかっています。

なお、「茶摘み」には「茜(あかね)だすきに菅(すげ)の笠」とのくだりもあります。茜は、元々、止血作用があることで知られており、これを乾燥してつくった茜草根(せんそうこん)という止血等に用いる生薬もあります。指先を怪我する可能性のある茶摘みという作業時に、あえて茜の成分をすり込んだたすきを使用していたのでないかともいわれています。

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