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ピンピンコロリと理想的な死

[2026.03.26]

「死ぬときにはコロリといきたいね」。患者さんから、そうお聞きすることがあります。これに関連して、ピンピンコロリという表現を耳にします。これは、最後まで病気に苦しむことなく、元気な状態で死を迎えることをたとえたものです。これに対し、寝たきりの状態が長く、そのまま死を迎えることを、ネンネンコロリというのだそうです。

たしかに、人生の終わりまで健康でいられることは、だれもが願うことでしょう。一方、以前、ある芸能人のこんな発言が載った記事を目にしたことがあります。「死ぬときにはがんで死にたい、がんなら残された時間を予想できるから、人生を整理できる」と。この記事を読んでからずっと、自身の中で「理想的な死」についての問答が続いています。

いつまでも元気でいて、家族や知人に迷惑をかけたくない。それは、病気の予防や医療費の抑制にもつながり、ピンピンコロリの根底にある考え方といえます。しかし、人間というものは、得てして、ピンピンと元気なうちには、人生の締めくくり方を考えることから目を背けてしまうものです。

普段から、思い出の写真や必要な書類を整理していますか。仕事や生活の引き継ぎをしていますか。感謝の言葉を伝えていますか--。健康であるうちにはなかなかできないからこそ、また、大切な人たちのことを思えばこそ、形式的であったとしても別れの時間を共有したい。そんな願いは、多くの人にあるのではないでしょうか。そして、それは、家族や友人にとっても、人生の最後を受け入れるための、心の準備期間になるのでしょう。

そもそも、「理想的な死」なんてないのかもしれません。ただ、人はいつかかならず死にます。だからこそ、死と向き合うことは、どう生きていきたいかを考えることと同義のようにも思えます。

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