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ビーンとヴィーン

[2026.08.27]

大学時代、アイルランドの語学学校に短期留学したときのことです。当時、ダブリン郊外のホームステイ先には、私以外に、イタリア人とスェーデン人の若者が同宿していました。彼らもまた、英語を学びにきていました。

ある週末、陽気なイタリア人が「一緒に映画で英語の勉強をしよう」と、声をかけてきました。早速、3人で近くのレンタルビデオ店を訪ね、「これにしよう」と、イタリア人が手にした作品を借りることに。テープをデッキに入れて、再生ボタンを押し、テレビ画面をジッとみつめていましたが・・・・・映像と音楽は流れても、登場人物の英語の台詞がいっこうに聞こえてきません。それもそのはず、そのビデオ、当時の英国で絶大な人気を誇ったビジュアル・コメディのテレビ番組「Mr.ビーン」だったのですから。キョトンとするスウェーデン人と私を尻目に、イタリア人は、お腹をかかえて大笑いしていたのでした。

さて、医療の世界にも、有名なビーンがあります。正しくは、ヴィーンと表記し、脱水時や絶食時、術後などにおける代表的な輸液として、幅広く用いられています。ヴィーンには、酢酸リンゲル液か維持液か、ブドウ糖を含むか含まないかなど、その組成によって、ヴィーンD、ヴィーンF、ヴィーン3Gなどがあります。

輸液の知識は、基本的にどの診療科でも必須で、輸液の組み合わせによっては、十分な水分や栄養を確保できなかったり、血管炎などの副作用を起こしたりすることがあります。そのため、研修医のころ、テキストを何度も読み、また、先輩医師にはりついて、必死に勉強したものでした。

アイルランドでのホームステイ中、同じ覚悟をもって英語を勉強していたら・・・・・・うーん、でもやっぱり、きっとまた3人で、「Mr.ビーン」のビデオをレンタルしそうな気がします。

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