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ニジイロクワガタとフレイル

[2026.08.06]

3年前の夏、菌糸瓶に入ったニジイロクワガタの幼虫が、わが家にきました。ニジイロクワガタは、オーストラリアなどオセアニアに生息し、その名の通り、成虫の全身は七色に輝き、世界一美しいクワガタといわれています。

約8か月後、蛹から羽化したわが家のニジイロクワガタは、夏には、虫かごに敷いたマットや木の葉、枝の上を、反り返った大顎を揺らしながら、ところ狭しと這いまわり、冬には、マットに潜って腹這いでのんびりしたりするなど、奔放にみえる暮らしぶりがなんとも愛らしく、家族の人気ものでした。私自身は、夜、羽根を大きく広げながら、餌場のゼリーを食べる姿が好きでした。毎日、マットに霧吹きしたり、定期的にゼリーを交換したりすることも、楽しい習慣になっていました。

そんなニジイロクワガタが、先日、死にました。死ぬ少し前から、動きが鈍くなり、餌の減り方も少なくなっていました。夏のおとずれとともに、一時体調が戻ったような気がしていましたが、死ぬ前日には、6本足を曲げ伸ばししながら前へ進むことすら難しくなり、その日が近いことがわかりました。

よろめきながらゆっくりと這うニジイロクワガタを見ながら、フレイルという言葉が浮かんできました。そう、加齢や病気などによって心身が衰え、転倒したりふらついたりしやすくなる状態を指すフレイルは、人間だけでなく、目の前のニジイロクワガタにもピッタリと当てはまるように感じたのです。ただ、人はクワガタと違い、老いたときの自分を見据え、フレイルになる前に、予防したり、進行を遅らせたりする術を模索することができます。クワガタにはおそらくそれができず、衰えゆく自らをはがゆく感じていたかもしれません。

わが家のニジイロクワガタは、成虫になってから、2年3か月以上生きました。一般的なニジイロクワガタの寿命は、1年から1年半、長くて2年ほどとされていますので、元気に長生きしてくれたと思います。きっと、天国への虹色の橋も、若き日のようにかくしゃくとした足取りで渡ってくれたのでしょう。

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