サビと酸化
昔使っていたバッグを久しぶりに棚から下ろしてみたら、金属製のボタンが青緑に変色していたなんて経験をしたことはありませんか。ひと目見るとカビのようにも見えますが、実は、緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビです。銅などの金属が酸化するために起こり、内部の腐蝕を防ぐ効果があるといわれています。いかにも体に悪そうな印象ですが、基本的には無害とされています。
一方、人体の中で起こる酸化には、有害なものもあります。「エッ、体ってサビるの」と、意外に思われる方もいらっしゃるでしょう。
そもそも酸化とは、物質の電子を失わせる化学反応のことをいいます。たとえば、サビである酸化鉄は、鉄の電子が酸素に移ることで生じます。人体での酸化の原因となるフリーラジカルを含む活性酸素は、体内に取り込んだ酸素が、細胞と反応する過程で産生されます。これが、細胞自体の電子を奪っていき、体のバランスを不安定にさせるのです。これを、酸化ストレスといいます。
循環器の領域では、酸化ストレスが動脈硬化の原因となることが明らかになっています。動脈硬化は、心臓における虚血の原因となり、心不全を引き起こすことがあります。また、抗加齢医学の観点からすると、酸化ストレスにより細胞が障害されたり死滅したりすることで、老化が促進することがわかっています。
酸化ストレスの予防には、ビタミンCやEなど抗酸化作用のある食事の摂取や持続的な運動が大切です。「身から出たサビ」にご注意を。
