グリム童話とGLIM基準
「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきん」「ブレーメンの音楽隊」「シンデレラ」「眠りの森の美女」など、幼いころに読んだ絵本の記憶をさかのぼると、その多くがグリム童話にたどり着くことに気づきます。
グリム童話は、グリム兄弟が編さんしたドイツの昔話、いわゆるメルヘン集です。ドイツ中を訪ね歩いた兄弟が、それぞれの土地の人たちから直接口伝えで聞いたメルヘンの数々をまとめたものとされています。元々は子ども向けに出版されたものではなかったからなのでしょうか、原著には残酷な描写や怖い内容も口承のままに記載されているようです。
さて、医学の世界では、GLIM(グリム)という基準があります。これは、昔話ではなく、2018年に世界中の主な栄養学関連学会が協力して策定した、低栄養の定義などを示した診断基準です。栄養管理は、いうまでもなく健康管理の要です。GLIM基準は、炎症反応などに基づき栄養状態を正しく評価し、低栄養と診断される症例に対し、その原因に基づき対策を講じ、栄養状態を改善させていくというプロセスを提示しています。
グリム童話は、世界で最も多くの言語に翻訳された書物であるともいわれています。GLIM基準も同様に、世界的な広がりをもって私たちの生活に浸透していくでしょうか。少なくとも、栄養状態が病態に大きな影響を与える心不全の評価や治療においては、今後さらに注目度が増していきそうです。
