カマグと胃薬
日常診療で多く遭遇する症状の1つが、便秘です。一般に、便秘といえば若い女性に多い印象をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。しかし、循環器疾患で通院される患者さんには御高齢の方が多いのですが、便秘の有無については、明らかな男女差はないように思います。当院では、まず、がん健診や内視鏡検査による原因検索をお勧めしています。そして、患者さんが希望される場合、排便回数や便の性状をお尋ねした上で、生活習慣の修正を助言したり、お薬を処方したりします。
便秘に対するお薬の1つに、酸化マグネシウム製剤があります。おそらく、全国的に最も使用されている緩下剤の1つでしょう。私たちは、よく「カマグ」という略称で呼びますが、東日本では、「カマ」ということが多いと聞いたことがあります。刺激性のものと比べて副作用が少なく、用量調整も容易です。
一方、併用するお薬に注意が必要なのを忘れてはなりません。その1つが胃薬で、このことが循環器診療に携わる私たちをおおいに悩ませるのです。なぜなら、心筋梗塞や狭心症などの患者さんに対し、私たちは、ほとんどのケースで血液をサラサラにするお薬を処方しますが、その副作用による胃からの出血を予防する目的で、通常、プロトンポンプ阻害薬やヒスタミン受容体拮抗薬といった胃薬をあわせて処方するからです。
こうした胃薬を飲んでいる患者さんにカマグを投与すると、その効果が半減してしまうことが、いくつかの研究報告で明らかになっています。カマグが効果を発揮するには、胃酸の分泌が関連しています。そのため、術後で胃のない患者さんの便秘には、ほぼ効きません。
